【食材マップ】世界のクルミ料理:香ばしい多様な利用法
クルミは、その特徴的な脳のような形と、香ばしく豊かな風味が魅力のナッツです。栄養価が高く、そのまま食べるだけでなく、世界中の様々な料理やお菓子に使われています。サラダのアクセントから、ソースの隠し味、パンやケーキの材料まで、幅広い用途で活躍しています。この食材が、世界の各地域でどのようにユニークな料理に変身しているのかを見ていきましょう。
中東・地中海:ディップやペーストの材料として
中東や地中海地域では、クルミはペーストやディップの重要な材料として使われることがあります。例えば、シリア発祥とされる「ムハマラ」は、ローストしたパプリカにクルミ、ザクロ糖蜜、パン粉などを加えて作るディップです。クルミの香ばしさや油分がペーストにコクと深みを与え、独特の食感もプラスされます。パンにつけたり、料理のソースとして利用されたりします。
イタリア:パスタソースや焼き菓子の風味付けに
イタリアの北西部、リグーリア州などでは、クルミを使ったパスタソースが親しまれています。最も有名なのは「サルサ・ディ・ノーチ(くるみソース)」で、刻んだクルミにパン粉、牛乳、ニンニク、パルミジャーノチーズなどを加えて作られます。ジェノベーゼソースのようにペースト状になっており、トロリとした口当たりとクルミの香ばしさが特徴です。また、ドルチェ(デザート)やパンの生地に練り込まれることも多く、焼き菓子に豊かな風味と食感を加えます。
北米:サラダやデザートの定番として
北米では、クルミはサラダのトッピングとして非常に一般的です。レタスやほうれん草を使ったサラダに、クランベリーやブルーチーズなどと一緒に散らすことで、食感のアクセントと香ばしさを加えます。また、ブラウニーやクッキー、ケーキなどの様々な焼き菓子に混ぜ込まれるのも定番です。クルミの香ばしさとカリッとした食感が、甘い生地の中で良い引き立て役となります。
グルジア:煮込み料理のベースに
東ヨーロッパとアジアの間に位置するグルジア(ジョージア)では、クルミが伝統料理に欠かせない食材の一つです。鶏肉のクルミソース煮込みである「サツィヴィ」は代表的な料理で、鶏肉をスパイスと共に煮込み、すり潰したクルミを加えて濃厚なソースで仕上げます。クルミはソースにとろみとコクを与え、独特の風味を生み出します。クルミは他の煮込み料理やサラダにも広く使われており、グルジア料理の重要な味の要素となっています。
中国:甘いお菓子や炒め物の彩りに
中国では、クルミはお菓子やデザートによく使われます。砂糖や飴でコーティングした「琥珀桃仁(こはくとうじん)」のようなお菓子は、カリカリとした食感とクルミの香ばしさが楽しめます。また、鶏肉や野菜と一緒に炒め物に使われることもあります。甘酢あんなど、甘めの味付けと組み合わせることが多く、料理に食感と香ばしさをプラスする役割を果たします。
これらの例からもわかるように、クルミはその香ばしさと食感、そして栄養価の高さから、世界の様々な地域で多様な料理に取り入れられています。そのまま食べるだけでなく、ソース、ディップ、生地、トッピングなど、形を変えて料理に深みやアクセントを加える万能な食材と言えるでしょう。