【食材マップ】世界のゴマ料理:小さな粒の多様な魅力
ゴマは、その小さな粒の中に香ばしさと豊かな風味を秘めた食材です。世界中で古くから栽培され、種子そのものはもちろん、油やペーストとしても広く利用されています。地域によって様々な料理に姿を変え、食卓に彩りと深みを加えています。ここでは、ゴマが世界各地でどのように料理されているかを見てみましょう。
世界のゴマ料理例
ゴマはその風味や食感、そして栄養価から、様々な地域の料理で重要な役割を果たしています。
日本:和え物やペーストで風味豊かに
日本では、炒りごまを料理に散らしたり、すりごまにして使ったりする機会が多くあります。代表的なものに「ほうれん草のごま和え」があります。これは、茹でたほうれん草と、すりごま、醤油、砂糖などを混ぜ合わせたもので、ごまの香ばしさとプチプチ、あるいはすりごまの滑らかな食感が、野菜の風味を引き立てます。また、練りごまを使った「ごま豆腐」は、とろりとした舌触りと濃厚なごまの風味が特徴的な一品です。うどんや冷奴に、香り高いごま油をかけることも一般的です。
中東・地中海沿岸:ペーストが料理の要に
中東や地中海沿岸地域では、「タヒニ」と呼ばれる、煎ったごまをペースト状にしたものが非常に重要です。このタヒニは、様々な料理のベースや風味付けに使われます。例えば、ひよこ豆のペーストである「フムス」や、焼きナスのペースト「ババガヌーシュ」には、タヒニが加えられ、滑らかさとコク、独特の風味が生まれます。また、タヒニを使った甘いお菓子「ハルヴァ」もこの地域の定番です。
中国:香りとコクを加える油とペースト
中国料理では、ごま油が香り付けや風味付けに欠かせません。炒め物の仕上げに回しかけたり、和え物や点心のタレに加えたりすることで、料理全体に豊かな香りが広がります。また、「芝麻醤(チーマージャン)」という、中華風の練りごまもよく使われます。これは、日本の練りごまよりも香ばしさが強く、辛いスープで有名な「担々麺」のスープのベースに使われることで、奥深いコクと風味を生み出しています。
インド:甘みと食感、風味付けに活用
インドでは、ゴマは甘いお菓子や料理の風味付けに使われます。炒ったゴマを砂糖やジャグリー(黒砂糖)で固めた「チッキ」は、カリッとした食感と香ばしい風味が楽しめる人気のお菓子です。南インド料理では、スパイスと一緒に油で熱して香りを出す「テンパリング」にごま油が使われることもあります。また、カレーやチャツネにアクセントとして炒りごまを加える地域もあります。
アフリカ:煮込み料理やペーストで栄養補給
アフリカの一部地域、特にスーダンなどでは、ゴマは重要な作物であり、食料源です。煎ったゴマやゴマのペーストは、栄養価を高めるために煮込み料理やスープに加えられます。例えば、ゴマのペーストを加えてとろみとコクを出した肉や野菜のシチューなどがあります。これは、主食と一緒に食べられることが多く、ゴマの持つ風味が料理全体をまろやかにまとめます。
まとめ
小さなゴマの粒は、世界各地で様々な姿に形を変えて料理に取り入れられています。日本の和え物や中東のタヒニ、中国の芝麻醤、インドの甘いお菓子、アフリカの煮込み料理など、地域ごとの食文化の中でゴマは独自の役割を果たしています。種子そのままのプチプチとした食感、油の豊かな香り、ペーストの滑らかさとコク。一つの食材からこれほど多様な料理が生まれることは、世界の食文化の面白さを改めて感じさせてくれます。