食材マップ:世界の味覚

【食材マップ】世界のコリアンダー(パクチー)料理:個性が光る万能ハーブ

Tags: コリアンダー, パクチー, ハーブ, 世界の料理, エスニック

コリアンダーは、その独特の香りで世界中の食文化に欠かせない存在です。葉の部分は特に「パクチー」や「シラントロ」とも呼ばれ、清涼感のあるフレッシュな風味が特徴です。一方、種子は乾燥させてスパイスとして利用され、柑橘類のような爽やかさと温かみのある香りを持ちます。

この一つの植物から採れる異なる部位が、世界の多様な地域で様々な形で料理に活かされています。ここでは、コリアンダー(パクチー)がどのように世界の食卓を彩っているのか、その一端をご紹介します。

世界の料理例

ここでは、コリアンダー(パクチー)が特徴的に使われる世界の料理や調理法をいくつかご紹介します。

タイ:新鮮な葉と根の活用

タイ料理では、生のコリアンダーの葉や茎、さらには根までが幅広く使われます。トムヤムクンやグリーンカレーのようなスープ、炒め物、ヤムウンセン(春雨サラダ)などの和え物に、刻んだ葉をたっぷりと散らして使われることが多いです。これにより、料理全体に爽やかでパンチのある香りが加わり、食欲をそそります。根の部分は、ペーストや出汁の風味付けに使われ、独特の深みを与えます。青々とした見た目も、料理の彩りとして重要な役割を果たします。

メキシコ:サルサやタコスの風味付け

メキシコ料理において、コリアンダー(シラントロ)は非常にポピュラーなハーブです。特に、フレッシュなサルサやワカモレには、刻んだ生の葉がたっぷり加えられます。タコスやブリトーの具材としても欠かせません。肉や魚、野菜など、様々な素材を使った料理の上に生の葉を散らすことで、爽やかな香りと彩りが加わり、料理全体のバランスが引き締まります。加熱せず生のまま使うことで、その特徴的な香りが最大限に活かされます。

インド:スパイスとしての種子と仕上げの葉

インド料理では、コリアンダーの種子が主要なスパイスの一つとして多用されます。カレーパウダーの配合には欠かせず、ホールまたはパウダー状で使われ、温かみのある爽やかな香りを料理全体に与えます。また、多くのカレーやダル(豆料理)では、仕上げに生のコリアンダーの葉を刻んで散らします。これにより、スパイスの香りに加えて、フレッシュな香りが加わり、複雑で奥行きのある風味が生まれます。種子と葉で異なる使い分けがされるのが特徴です。

モロッコ・北アフリカ:煮込み料理のアクセント

モロッコをはじめとする北アフリカの料理、特にタジン鍋を使った煮込み料理やクスクスにもコリアンダーは使われます。スパイスミックスであるラズエルハヌートにもコリアンダーの種子が含まれることがあり、煮込み料理のベースとなる香りを形成します。また、生の葉はパセリなどとともに刻んで加えられ、風味と彩りのアクセントとなります。長時間煮込む料理でも、コリアンダーの風味が他のスパイスや素材と馴染み、豊かな香りを生み出します。

まとめ

コリアンダー(パクチー)は、葉、茎、根、そして種子と、植物全体が余すことなく世界の様々な料理に利用されています。タイのフレッシュなサラダからインドの複雑なスパイス料理、メキシコのサルサ、モロッコの煮込み料理まで、地域ごとに異なる使い方をされるのが興味深い点です。その独特な香りは、時には料理の主役として、時には風味の引き立て役として、世界の食卓に個性と彩りを加えています。