【食材マップ】世界の鶏肉料理:身近な万能食材の魅力
世界で親しまれる万能食材、鶏肉
鶏肉は世界中の食卓で非常に親しまれている食材の一つです。比較的手に入れやすく、様々な部位があり、淡白な味わいから濃厚なものまで、調理方法によって表情を大きく変えることができるため、多くの国の料理に活用されています。煮る、焼く、揚げる、蒸すなど、どんな調理法にも対応できる鶏肉は、まさに世界共通の万能食材と言えるでしょう。
この食材が、世界の様々な地域でどのように料理されているのかを見ていきましょう。その土地ならではの工夫や文化が反映された、鶏肉料理の多様な世界が広がっています。
世界の鶏肉料理例
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フライドチキン (アメリカ合衆国)
アメリカ合衆国南部を中心に非常に一般的な料理です。鶏肉に小麦粉や香辛料などを混ぜた衣をまぶし、油で揚げて作られます。衣はカリッとした食感で、中はジューシーに仕上がります。地域や家庭によって衣の味付けやスパイスの配合が異なり、個性豊かなフライドチキンが楽しまれています。骨付きのまま揚げることが多く、手軽に食べられるスナックとしても、また食事のメインとしても人気があります。
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タンドリーチキン (インド)
インドを代表する鶏肉料理の一つです。ヨーグルトと数種類のスパイス、すりおろしたショウガやニンニクなどを混ぜ合わせたマリネ液に骨付きまたは骨なしの鶏肉を漬け込み、タンドールと呼ばれる円筒形の土窯で焼いて作られます。タンドールがない場合は、オーブンやグリルで焼かれることもあります。スパイスの色が鶏肉にしっかりとつき、赤やオレンジ色に染まるのが特徴です。ヨーグルトの効果で肉は非常に柔らかく、スパイスの芳醇な香りが食欲をそそります。
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海南鶏飯 (シンガポール、マレーシア)
シンガポールやマレーシアでソウルフードとして愛されている料理です。鶏肉をまるごと香味野菜と一緒に茹でるか蒸し、その茹で汁(または蒸し汁)で炊いたご飯と一緒に提供されます。鶏肉はしっとりとして柔らかく、鶏の旨味が凝縮されたご飯はそれだけでも美味です。ショウガ、ニンニク、チリソース、ダークソイソースなど、数種類のタレやソースを添えて、自分好みの味で楽しむのが一般的です。シンプルな見た目ながら、鶏の旨味を最大限に引き出した奥深い味わいが特徴です。
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照り焼きチキン (日本)
日本で非常にポピュラーな鶏肉料理です。鶏肉(主に鶏もも肉やむね肉)を焼いて、醤油、みりん、酒、砂糖などを混ぜ合わせた甘辛い「照り焼きのタレ」を絡めながら火を通します。タレの成分が熱で変化し、表面に美しい艶(テリ)が出ることが名前の由来です。甘く濃厚なタレの味と、焼いて香ばしくなった鶏肉の組み合わせはご飯との相性が抜群で、家庭料理としても、またお弁当のおかずとしても広く親しまれています。
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チキンカチャトーラ (イタリア)
イタリアの代表的な煮込み料理の一つです。「カチャトーラ」は「猟師風」という意味で、元々は猟師が狩りの途中で簡単に作れるように考案されたと言われています。骨付きの鶏肉を、トマト、玉ねぎ、ピーマン、きのこなどの野菜、ハーブ(ローズマリーやタイムなど)と一緒にワインやトマトソースでじっくり煮込みます。鶏肉の旨味と野菜の甘み、ハーブの香りが溶け合った、深みのある味わいが特徴です。パスタやポレンタ、パンなどと一緒に、煮込み汁を絡めて食べられることが多いです。
まとめ
このように、鶏肉は世界各地でその地域の食文化や気候、利用可能な食材に合わせて、様々な調理法で料理されています。揚げることでカリッとした食感を楽しむ地域もあれば、スパイスと組み合わせて香り豊かに仕上げる地域、シンプルな調理で素材の味を引き出す地域、そして他の食材と煮込んで深みのある味わいを作り出す地域など、その多様性は驚くほどです。
一つの食材が、これほどまでに多くの異なる姿に変わることは、世界の食文化の豊かさと面白さを示しています。身近な食材である鶏肉を通して、世界の様々な地域の料理に触れてみるのはいかがでしょうか。