食材マップ:世界の味覚

【食材マップ】世界のピーマン・パプリカ料理:鮮やかな変身

Tags: パプリカ, ピーマン, 世界の料理, 野菜料理, 食材図鑑

ピーマンやパプリカは、鮮やかな色とシャキシャキとした食感で、世界中の様々な料理で親しまれている野菜です。緑色のピーマン、赤や黄色、オレンジ色のパプリカなどがあり、それぞれ少しずつ風味や甘みが異なります。生でサラダに加えたり、炒め物や煮込み料理の具材にしたりと、幅広く利用されています。

この食材が世界の食卓でどのように使われているのか、いくつかの例を見てみましょう。

ハンガリー:グヤーシュ(Gulyás)

ハンガリーを代表する煮込み料理であるグヤーシュには、パプリカが欠かせません。牛肉や玉ねぎと一緒にじっくり煮込まれますが、特に重要なのが「パプリカパウダー」と生のパプリカの両方を使う点です。パプリカパウダーが料理全体に深みのある赤色と独特の風味を与え、煮崩れたり形を残した生のパプリカが彩りと食感のアクセントになります。肉の旨味とパプリカの風味が溶け合った、体も温まる一品です。

スペイン:ピペラダ(Piperada)

スペインの特にバスク地方でよく作られるピペラダは、パプリカ、玉ねぎ、トマト、玉ねぎなどをオリーブオイルでじっくりと炒め煮にした料理です。パプリカが主役となり、赤や緑、黄色のパプリカが使われることで見た目も非常にカラフルになります。野菜の甘みと旨味が凝縮されており、パンに乗せたり、卵料理や肉料理の付け合わせにしたりと、様々な形で楽しまれます。シンプルながらも野菜本来の美味しさを味わえる料理です。

地中海・中東地域:ドルマ(Dolma)

地中海沿岸から中東にかけての地域には、「ドルマ」と呼ばれる詰め物料理が数多く存在します。ピーマンやパプリカもドルマの材料としてよく使われます。くり抜いたピーマンやパプリカの中に、米、ひき肉、ハーブ、スパイスなどを混ぜ合わせた具材を詰めて、煮込んだり焼いたりして仕上げます。使う具材や味付けは地域や家庭によって様々ですが、ピーマンやパプリカの甘みや香りが中の具材と合わさり、風味豊かな一品となります。

メキシコ:ファヒータ(Fajita)

メキシコ料理のファヒータは、肉や魚介と一緒に玉ねぎやパプリカを鉄板などで炒める料理です。ステーキのようにカットした肉や、エビなどと共に、赤や黄色のパプリカ、玉ねぎなどが使われます。熱々の鉄板に乗せられて提供されることが多く、ジュージューという音とパプリカの鮮やかな彩りが食欲をそそります。トルティーヤに包んでサルサなどの調味料と一緒にいただくのが一般的です。パプリカのシャキシャキとした食感が良いアクセントになります。

中国:チンジャオロース(青椒肉絲)

日本でも馴染み深い中華料理のチンジャオロースは、ピーマンが重要な役割を果たす炒め物です。細切りにした牛肉や豚肉、タケノコなどと一緒に、ピーマンを強火で手早く炒め合わせます。「青椒」はもともと緑色の唐辛子を指す言葉ですが、日本では緑色のピーマンが使われるのが一般的です。ピーマンの持つ爽やかな風味と、油で炒めることによる独特の香ばしさが、肉や他の野菜の旨味を引き立てる一品です。

まとめ

このように、ピーマンやパプリカは、煮込み、炒め物、詰め物など、世界各地の多様な料理に利用されています。それぞれが持つ色、甘み、苦味、食感は、料理に彩りを与え、風味を豊かにする重要な要素となっています。これらの料理例を通して、身近な食材であるピーマンやパプリカが、世界の食卓でいかに多様な「変身」を遂げているかを知ることができます。