【食材マップ】世界のパスタ料理:多様な形とソースの組み合わせ
パスタは、主に小麦粉と水、または卵などを練り合わせて作られるイタリア発祥の食品です。その歴史は古く、様々な形や大きさが存在します。スパゲッティのように細長いもの、ペンネやマカロニのように筒状のもの、ラザニアのように平たいものなど、数え切れないほどの種類があります。
パスタは世界中で愛されており、それぞれの地域で独自の調理法やソースと組み合わされて楽しまれています。ここでは、パスタが世界の特定の地域でどのように料理されているかを見ていきましょう。
イタリア:ローマのカルボナーラ
イタリアのローマを代表するパスタ料理の一つに、スパゲッティ・アッラ・カルボナーラがあります。これは、卵黄、硬質チーズ(ペコリーノ・ロマーノやパルミジャーノ・レッジャーノなど)、豚頬肉の塩漬け(グアンチャーレ)、黒胡椒を使った濃厚なソースをスパゲッティに絡めた料理です。
加熱したグアンチャーレの油と旨味がソースに加わり、卵黄とチーズが乳化してクリーミーな仕上がりになります。生クリームを使用しないのが伝統的なスタイルとされており、シンプルながらも素材の味が際立つ一品です。パスタの熱で卵黄が固まりすぎないように手早く和えるのがポイントです。
イタリア:ボローニャのボロネーゼ
イタリア北部のボローニャが発祥とされるパスタソースが、ラグー・アッラ・ボロネーゼ、通称ボロネーゼです。これは、牛肉や豚肉のひき肉、香味野菜(玉ねぎ、セロリ、人参など)をトマトやワインと共にじっくりと煮込んだ肉ベースのソースです。
長時間煮込むことで、肉と野菜の旨味が凝縮され、深みのある味わいになります。一般的には、タリアテッレのような平たいパスタや、ペンネ、ラザニアなどと組み合わせて食べられます。パスタによく絡む濃厚なソースが特徴です。
イタリア:南イタリアのペペロンチーノ
アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノは、イタリア、特に南イタリアで親しまれているシンプルなパスタ料理です。名前の通り、「ニンニク(アーリオ)」「オリーブオイル(オーリオ)」「唐辛子(ペペロンチーノ)」という少ない材料で作られます。
フライパンでオリーブオイルにニンニクと唐辛子の香りをじっくりと移し、茹で上がったパスタと茹で汁を加えて手早く和えるだけです。シンプルだからこそ、素材の質が重要になります。ニンニクの香ばしさ、唐辛子のピリッとした辛さ、そしてオリーブオイルの風味がストレートに味わえる料理です。
イタリア:ジェノヴァのジェノベーゼ
イタリア北西部リグーリア州の州都ジェノヴァ発祥のパスタソースが、ペスト・ジェノヴェーゼ、通称ジェノベーゼです。これは、新鮮なバジルの葉、松の実、ニンニク、パルミジャーノ・レッジャーノなどのチーズ、オリーブオイルをすりつぶして作られる鮮やかな緑色のソースです。
ミキサーなどを使わず、伝統的には大理石の臼と木の杵ですりつぶすことで、バジルの香りを最大限に引き出すとされています。茹でたパスタ(トロフィエやリングイネなど)に絡めて食べると、バジルの爽やかな香りとナッツやチーズのコクが口の中に広がります。
アメリカ:マカロニ&チーズ
イタリアから海を渡ったパスタは、アメリカでも独自の進化を遂げました。マカロニ・アンド・チーズ、通称マク&チーズは、茹でたマカロニにチーズソースを絡めた、アメリカの家庭料理として非常にポピュラーな一品です。
チェダーチーズを溶かした濃厚なチーズソースを使うのが一般的で、パン粉を散らしてオーブンで焼くこともあります。外側は香ばしく、中はとろりとしたチーズとマカロニの組み合わせが楽しめます。シンプルな材料で手軽に作れることから、子供から大人まで広く愛されています。
パスタは、シンプルな小麦粉の生地でありながら、その多様な形状と、世界各地で生まれた個性豊かなソースや調理法との組み合わせによって、無限の可能性を秘めた食材です。地域ごとの気候や文化、手に入る食材に合わせて発展してきたパスタ料理は、世界の食文化の面白さを教えてくれます。