【食材マップ】世界のじゃがいも料理:変幻自在な大地の恵み
じゃがいもは、世界中で最も広く食べられている食材の一つです。南米アンデス地方が原産とされていますが、今ではアジア、ヨーロッパ、北米など、様々な地域で栽培され、人々の食卓に欠かせない存在となっています。
でんぷん質が豊富で腹持ちが良く、ビタミンCやカリウムなども含んでいるじゃがいもは、煮る、焼く、揚げる、蒸すなど、どのような調理法にも合う順応性の高さが魅力です。この汎用性の高さから、世界各地でその土地ならではの多様な料理が生み出されています。
アメリカ合衆国:フレンチフライ(フライドポテト)
アメリカ合衆国だけでなく、世界中で親しまれているじゃがいも料理の代表格です。じゃがいもを細長い棒状にカットし、油で揚げて作られます。外側はカリッとした食感、内側はホクホクとした柔らかな食感になります。多くの場合、塩でシンプルに味付けされますが、ケチャップやマスタード、チーズソースなど、様々なディップをつけて楽しまれます。手軽なスナックやハンバーガー、ステーキなどの付け合わせとして、多くのレストランや家庭で提供されています。
イギリス:マッシュポテト
じゃがいもを茹でて柔らかくし、潰してからバターや牛乳、クリームなどを加えて滑らかに仕上げる料理です。塩やこしょうで味を整えるのが一般的ですが、チャイブやパセリなどのハーブを混ぜることもあります。ローストチキンやソーセージ、フィッシュアンドチップスなど、様々なメイン料理の付け合わせとして非常にポピュラーです。口の中でとろけるような優しい食感と、じゃがいもの自然な甘み、バターの風味が特徴です。
スペイン:パタタス・ブラバス
スペインのバル(居酒屋)で人気のタパス(小皿料理)の一つです。一口大にカットして揚げたじゃがいもに、「ブラバスソース」と呼ばれる辛みのあるトマトソースと、「アリオリソース」と呼ばれるニンニク風味のマヨネーズソースをかけた料理です。揚げたじゃがいものカリッとした食感と、2種類のソースの組み合わせが特徴です。辛みとクリーミーさが絶妙なバランスで、ビールやワインによく合います。
インド:アルー・ゴビ
「アルー」はヒンディー語でじゃがいも、「ゴビ」はカリフラワーを意味します。じゃがいもとカリフラワーを主な材料とし、ターメリックやクミン、コリアンダー、ガラムマサラなど、様々なスパイスを使って炒め煮にした北インドの代表的な家庭料理です。じゃがいもはホクホクとした食感で、カレーの煮汁を吸い込み、深い味わいになります。ベジタリアン料理としても人気があり、ナンやロティ、ご飯と一緒に食べられます。
ドイツ:カルテッフェル・ザラート(ポテトサラダ)
日本で一般的なマヨネーズベースのポテトサラダとは異なり、ドイツのポテトサラダは酢と油を使ったさっぱりとしたドレッシングで和えられることが多いのが特徴です。茹でたじゃがいもを温かいうちにスライスまたは角切りにし、炒めたベーコンや玉ねぎ、ピクルスなどと一緒に、酢、植物油、マスタード、砂糖、ブロス(だし汁)などで作ったドレッシングで和えます。じゃがいものホクホク感に、酸味のあるドレッシングが染み込み、さっぱりとした味わいになります。ソーセージ料理などによく添えられます。
ここでご紹介した以外にも、じゃがいもを使った料理は世界中に数え切れないほど存在します。煮込み料理の具材として、スープのベースとして、あるいはパンやデザートの材料として使われることもあります。一つの食材が、それぞれの地域の食文化や気候、歴史と結びついて、これほどまでに多様な姿に形を変えるのは非常に興味深いことです。じゃがいもを通じて、世界の食卓を旅してみてはいかがでしょうか。