【食材マップ】世界のイカ料理:海の変幻自在な主役
イカは世界中の海に生息し、独特の食感と奥深い旨味を持つ食材です。柔らかさと弾力性を併せ持つその身は、焼く、煮る、揚げる、生で食べるなど、様々な調理法に適しています。世界各地でイカはその土地ならではの個性的な料理に姿を変え、食卓を豊かに彩っています。ここでは、そんなイカが世界でどのように親しまれているのか、代表的な料理例を見ていきましょう。
イタリアやスペインなど地中海沿岸:フリット(揚げ物)
地中海沿岸の国々、特にイタリアやスペインでは、イカをシンプルに揚げた「フリット」が非常にポピュラーです。新鮮なイカを輪切りや開きにして軽く衣をつけ、高温の油でさっと揚げます。外はサクサク、中はプリプリとしたイカ本来の食感が楽しめます。レモンをキュッと絞って食べるのが定番で、素材の味をストレートに味わえる料理です。前菜やおつまみとして気軽に楽しまれています。
イタリアやスペインなど地中海沿岸:イカのトマト煮込み
同じく地中海沿岸のイタリアやスペインなどでは、イカをトマトソースでじっくり煮込む料理もよく作られます。「カラマーリ・イン・ウーミド(Calamari in Umido)」などと呼ばれます。ニンニク、玉ねぎ、トマト缶、白ワイン、ハーブなどと一緒にイカをコトコト煮込むことで、イカは驚くほど柔らかくなります。トマトの酸味と旨味がイカに染み込み、深みのある味わいになります。パンを添えてソースを吸わせながら食べたり、パスタソースとして利用したりもします。
ペルー:セビーチェ
ペルーの代表的な料理であるセビーチェは、魚介類をライムやレモン汁でマリネしたものです。イカもセビーチェの主要な具材の一つとしてよく使われます。新鮮なイカを一口大に切り、玉ねぎ、唐辛子、パクチーなどと共に、ライムやレモンの搾り汁に短時間漬け込みます。柑橘類の酸によってイカの身が引き締まり、独特のねっとりとした食感と爽やかな風味が生まれます。火を使わないため、イカの鮮度が非常に重要となる料理です。
タイ:イカのグリル(プラームック・ヤーン)
タイなどのアジア各国では、イカを香ばしくグリルして楽しむ料理も一般的です。「プラームック・ヤーン」はタイ語で「イカの焼き物」という意味です。イカを丸ごと、あるいは開いて串に刺し、炭火などでじっくりと焼き上げます。シンプルに塩コショウで味付けしたり、マリネ液に漬け込んでから焼いたりします。香ばしい香りと、プリッとした弾力のある食感が魅力です。辛みのあるシーフードソースなどをつけて食べることが多く、屋台料理としても人気があります。
ここに挙げた例の他にも、中華料理の炒め物や和え物、日本のイカ刺しや寿司、イカ焼きなど、世界には数多くのイカ料理が存在します。
まとめ
イカは、揚げてサクサクに、煮込んでとろけるように、マリネしてねっとりと、焼いて香ばしく、そして生でとろけるように、様々な調理法によって全く異なる食感と味わいを楽しむことができる食材です。地域ごとの文化や食材と組み合わさることで、イカはバラエティ豊かな料理へと変身します。この小さな海の生き物が、いかに世界中の食卓で愛され、多様な姿を見せているかを知ることは、世界の食文化の面白さを再発見することにつながります。